本文へジャンプ
アイフル答弁書に対する準備書面(案)


トップページ > 対アイフルの新対応
平成21年6月頃から、消費者金融アイフルの過払金請求に対する対応が変わりました。
過払金返還請求訴訟においても、全面戦争の様相です。
消費者金融アイフルは、分厚い答弁書を出してきます。殆どの内容が既に過去の判例で解決済みの内容です。
過払い請求をする側は、これに対して反論をする必要があります。
この反論は、多岐にわたり、かつ、会計学の基本も分かっている必要があり、反論するのには、骨が折れます。
そこで、大阪の弁護士は、ここに、反論としての準備書面の案を公開します。

完全なものではないかもしれませんが、叩き台として使っていただいて結構です。
添削は、大歓迎です。
どのような機会でも結構ですので、添削すべき点をご指摘ください。

消費者金融アイフルに対する過払い被害者の協力で、過払い請求訴訟を勝利しましょう。

(案)

平成21年(ハ)第12176号 不当利得返還請求事件
原 告  ○○○○
被 告  アイフル株式会社・株式会社武富士

原告第1準備書面

平成21年9月  日

神戸簡易裁判所民事1係 御中

原告訴訟代理人弁護士 佐 野 隆 久  

第1 被告アイフルの答弁書に対する認否及び反論
1 「被告(アイフル株式会社)の認否」について
(1) 原被告アイフル間の取引内容について
ア 被告アイフルの主張
「取引年月日・貸付額・返済額について、被告作成取引計算書と合致する部分についてのみ認め、仮に合致しない部分が存在すれば否認する。」
イ 原告の反論及び主張
訴状添付の「利息制限法に基づく法定金利計算書1」は,被告アイフルが作成した取引計算書(甲1号証)に基づいて作成したものであり,取引年月日・貸付額・返済額については,完全に一致する。
被告アイフルは,訴状添付の計算書を精査した上で,認否をされたい。
(2) 被告アイフルが争う不当利得,悪意の受益者であること及び民法第704条の利息を付すべき始期が訴状送達の翌日であるとする点については,後述する。
2 「被告(アイフル株式会社)の主張」について
(1) 「第1.はじめに」について
ア 「1.利息制限法1条2項の死文化と貸金業規制法の制定」について
被告アイフルは,標記について,長々と述べているが,本件訴訟物及び要件事実とは,全く関係のない主張に過ぎない。従って,原告は,認否しない。
イ 「2.平成18年1月13日最高裁判決後における現在の実体」について
被告アイフルは,標記について,長々と述べているが,本件訴訟物及び要件事実とは,全く関係のない主張に過ぎない。従って,原告は,認否しない。
なお,被告アイフル主張の「返還請求を求めるほぼすべての人との間で貸金業者は,トラブルなく取引を行ってきたのである。」については,強く争う。2005年7月25日頃,被告アイフル自身を被告とした集団訴訟が提起されたことは周知の事実である(甲2号証)。
そして,被告アイフルの違法営業により,平成18年4月14日付けで近畿財務局から業務停止処分が下されたことも周知の事実である(甲3号証,甲4号証)。
このように,被告アイフルの取引は,常にトラブルを伴ってきたものである。
(2) 「第2.みなし弁済について」について
被告アイフルは,みなし弁済の主張及び立証を放棄し,争っていない。加えて,利息制限法所定の利率による引き直し計算を同意している。そこで,原告は,被告アイフルがみなし弁済が成立しない旨を自白したものとして取り扱い,被告アイフルがこの自白を撤回したり,新たな主張をしない限り,反論や新たな主張を行わないこととする。
(3) 「第3.悪意の受益者について」「1.悪意の受益者との主張に対して」について
ア 第1段について
全て不知。争う趣旨である。
但し,被告アイフルが自ら貸金業法43条の主張立証を放棄している点については,争わない。
イ 第2段について
(ア) 被告アイフルの主張
「ところで、貸金業法43条は、登録業者であり、貸金業法17条.18条に規定する書面を適正に交付し、任意に支払ったことが要件であるところ、被告会社はもとより、大手といわれる貸金業者(アコム・プロミス・武富士等)のすべてが、貸金業法17条.18条に規定する書面について、不備であるとの理由で行政処分等を受けたことがないのであって、そして取引について当該顧客等との間で、トラブルなく良好な関係でいるうちは、弁済についても任意に支払っているものと認識することは、まさに、最高裁判決にいう、貸金業法43条が認められるとの認識を有していたことについて、やむを得ないといえる等の特段の事情があったというべきである。」
(イ) 原告の認否及び反論
否認及び争う。
被告アイフルは,前述のとおり,貸金業法43条に関する主張及び立証を放棄している。この点について,次の原告の主張において,被告アイフルが善意受益者でありえないことを主張する。
(ウ) 原告の主張
a そもそも被告アイフルらは,善意受益者ではありえない。
b 平成17年12月15日最高裁第一小法廷判決は,概ね次のように述べている。
「リボルビング方式の場合に,個々の貸付けの時点での残元利金について,最低返済額及び経過利息を毎月15日の返済期日に返済する場合の返済期間,返済金額等を17条書面に記載することは可能であるから,上告人は,これを確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずるものとして,17条書面として交付する書面に記載すべき義務があったというべきである。上告人は悪意の受益者でないというのは,仮に,当該貸付に係る契約の性質上,法17条1項所定の事項のうち,確定的な記載が不可能な事項があったとしても,貸金業者は,その事項の記載義務を免れるものではなく,その場合には,当該事項に準じた事項を記載すべき義務がある。」
c また,近時の下級審判決である甲府地方裁判所平成21年4月24日判決(事件番号平成20年(ワ)第764号)も「金銭を目的とする消費貸借において利息制限法所定の制限利率を超過する利息の契約は,その超過部分につき無効であって,この理は,貸金業者についても同様であるところ,貸金業者については,貸金業法43条1項が適用される場合に限り,制限超過部分を有効な利息の債務の弁済として受領することができるとされているにとどまる。このような法の趣旨からすれば,貸金業者は,同項の適用がない場合には,制限超過部分は,貸付金の残元本があればこれに充当され,残元本が完済になった後の過払金は不当利得として借主に返還すべきものであることを十分に認識しているというべきものである。そうすると,貸金業者が制限超過部分を利息の債務の弁済として受領したが,その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められない場合には,当該貸金業者は,同項の適用があるとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り,法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者,すなわち民法704条の悪意の受益者であると推定されるものというべきである。」と述べて,平成19年7月13日最高裁第二小法廷判決の内容を採用している。
d ところで,貸金業法43条の適用の要件事実として,次の事実が必要である。
(a) 貸主が登録業者であること(以下,「要件(a)」という。)
(b) 貸付けを行う際に「17条書面を交付」していること(以下,「要件(b)」という。)
(c) 貸主が弁済を受ける際に「18条書面を交付」していること(以下,「要件(c)」という。)
(d) 借主が制限超過利息を「任意に弁済」したこと(以下,「要件(d)」という。)
e 4要件に対する当てはめ
(a) 要件(a)について,該当する。
(b) 要件(b)について,被告アイフルは,この主張及び立証を放棄している。
(c) 要件(c)について,被告アイフルは,この主張及び立証を放棄している。
(d) 要件(d)について,被告アイフルは,この要件に該当する旨を主張する。この点,次に述べるとおり,被告アイフルがこの要件を充足していないことは明らかである。
f 被告アイフルが要件(d)を充足しないこと
(a) 平成18年1月24日,最高裁判所第三小法廷判決の判旨は,次のとおりである(甲5号証)。
「(1) 貸金業法43条1項にいう『債務者が利息として任意に支払った』とは,債務者が利息の契約に基づく利息の支払に充当されることを認識した上,自己の自由な意思によってこれを支払ったことをいい,債務者において,その支払った金銭の額が利息の制限額を超えていることあるいは当該超過部分の契約が無効であることまで認識していることを要しないと解されるものの(最高裁昭和62年(オ)第1531号平成2年1月22日第二小法廷判決・民集44巻1号332頁参照),前記のとおり,同項の規定の適用要件については,これを厳格に解釈すべきものであるから,債務者が,事実上にせよ強制を受けて利息の制限額を超える額の金銭の支払をした場合には,制限超過部分を自己の自由な意思によって支払ったものということはできず,同項の規定の適用要件を欠くというべきである。
(2) 本件期限の利益喪失条項がその文言どおりの効力を有するとすれば,上告人らは,支払期日に制限超過部分を含む約定利息の支払を怠った場合には,元本についての期限の利益を当然に喪失し,残元本全額及び経過利息を直ちに一括して支払う義務を負うことになるが,このような結果は,上告人らに対し,期限の利益を喪失する不利益を避けるため,本来は利息制限法1条1項によって支払義務を負わない制限超過部分の支払を強制することとなるから,同項の趣旨に反し容認することができない。本件期限の利益喪失条項のうち,制限超過部分の利息の支払を怠った場合に期限の利益を喪失するとする部分は,利息制限法1条1項の趣旨に反して無効であり,上告人らは,支払期日に約定の元本及び利息の制限額を支払いさえすれば,期限の利益を喪失することはなく,支払期日に約定の元本又は利息の制限額の支払を怠った場合に限り,期限の利益を喪失するものと解するのが相当である。
そして,本件期限の利益喪失条項は,法律上は,上記のように一部無効であって,制限超過部分の支払を怠ったとしても期限の利益を喪失することはないものであるが,この条項の存在は,通常,債務者に対し,支払期日に約定の元本及び制限超過部分を含む約定利息を支払わない限り,期限の利益を喪失し,残元本全額及び経過利息を直ちに一括して支払う義務を負うことになるとの誤解を与え,その結果,このような不利益を回避するために,制限超過部分を支払うことを債務者に事実上強制することになるものというべきである。
したがって,本件期限の利益喪失条項の下で,債務者が,利息として,制限超過部分を支払った場合には,上記のような誤解が生じなかったといえるような特段の事情のない限り,債務者が自己の自由な意思によって支払ったものということはできないと解するのが相当である。」
(b) 本件への当てはめ
原告・被告アイフル間にも,債務者が利息制限法所定の制限を超える約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の利益を喪失する旨の特約があり,この特約の下での制限超過部分の支払がなされてきた事実がある。
従って,本件制限超過部分の支払の任意性は,否定される。
(c) 被告アイフルの主張の理由のないこと
被告アイフルは,「ところで、貸金業法43条は、登録業者であり、貸金業法17条・18条に規定する書面を適正に交付し、任意に支払ったことが要件であるところ、被告会社はもとより、大手といわれる貸金業者(アコム・プロミス・武富士等)のすべてが、貸金業法17条・18条に規定する書面について、不備であるとの理由で行政処分等を受けたことがないのであって、そして取引について当該顧客等との間で、トラブルなく良好な関係でいるうちは、弁済についても任意に支払っているものと認識することは、まさに、最高裁判決にいう、貸金業法43条が認められるとの認識を有していたことについて、やむを得ないといえる等の特段の事情があったというべきである。」と主張する。
しかし,前述のとおり,原告は,期限の利益喪失条項によって,利息制限超過部分の支払を強制されているにもかかわらず,この部分についての言及が全くなされていない。
従って,被告アイフルの主張に理由がないことは明らかである。
ウ 原告の予備的主張
仮に被告アイフルらが善意受益者であった場合について
もっとも,仮に被告らが善意受益者であったとしても,最高裁判所第三小法廷昭和38年12月24日付判決(民集第17巻12号1720頁)にあるとおり,被告らは消費者金融業者として過払金元本から運用利益を得ているのであるから,結局は受領後民事法定利息相当金を支払うべきである。善意受益者と悪意受益者の違いは,悪意受益者は現存しない元本,利息についても返還しなければならないという点にすぎない。要するに善意受益者であろうと,本来返還請求権者にあるべき元本と同様,そこから生じた果実(利息)についても,元本と一緒に返還されるべきなのである。
(4) 「2.悪意の基準時について@」について
ア 被告アイフルの主張
「仮に、百歩譲って被告が悪意の受益者であるとしても、原告の弁済により過払金が発生した都度、各過払金に対して利息を付すべきであるとの原告の主張は認められるべきではない。民法704条にいう『悪意』とは、具体的利益に対してこれを収受する権限のないことを具体的に認識している状態をいう。すなわち、『悪意』ありと認められるためには、その前提として、具体的に受益があったこと自体を認識している(受益に対して『故意』つまり受益に対する表象及び認容があると言い換えても良い)必要がある。
しかしながら、被告は、本件訴訟に直面して初めて、みなし弁済の立証が困難であるとの認識を有し、本件訴訟においてこれを特段具体的に主張立証することを断念するに至ったのであり、それよりも前の時点で、自己の収受していた弁済のうち 制限利率超過部分について受領権限がないと認識した事実は無い。本件訴訟が提起されるにあたって、被告がみなし弁済の立証可能性を初めて具体的に検討し、その結果断念し、この時点で初めて自己が弁済として受領した制限利率超過部分に保有権限が無いことを認識するに至ったのであるから、民法704条の利息を付すべき始期は、訴状送達の翌日であると解するべきである。」
イ 原告の認否及び反論
(ア) 否認及び争う。
(イ) 被告アイフルの主張は,「悪意」について,独自の見解を述べたに過ぎず,これまでの最高裁判所の見解を無視するものであって,理由のない主張である。
(ウ) 悪意の受益者に関する先例となる判例は,最高裁判所第三小法廷平成19年7月17日判決(事件番号 平成18年(受)第1666号)(甲6号証)である。
この判決によると,貸金業者が利息制限法の制限超過利息を受領したが,その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められないときは,当該貸金業者は,同項の適用があるとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことがやむを得ないといえる特段の事情がある場合でない限り,法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者,すなわち民法704条「悪意の受益者」であると推定されるものとしている。
(エ) 本件においても,被告アイフルは,各弁済の弁済金のうち,制限超過部分を認める計算書を提出しているのであるから,各弁済金を受領した時点において貸金業法43条1項の適用があるとの認識を有していたとの推定を受ける。
(オ) 被告アイフルは,この推定を破るだけの反証を行っていない。
(カ) 従って,被告アイフルは,民法704条にいう「悪意」の受益者に該当する。
(キ) さらに,平成21年9月4日に,最高裁判所第二小法廷判決があったので,引用する(甲7号証)。
(ク)「金銭消費貸借の借主が利息制限法1条1項所定の制限を超えて利息の支払を継続し,その制限超過部分を元本に充当すると過払金が発生した場合において,貸主が悪意の受益者であるときには,貸主は,民法704条前段の規定に基づき,過払金発生の時から同条前段所定の利息を支払わなければならない(大審院昭和2年(オ)第195号同年12月26日判決・法律新聞2806号15頁参照)。このことは,金銭消費貸借が,貸主と借主との間で継続的に金銭の借入とその弁済が繰り返される旨の基本契約に基づくものであって,当該基本契約が過払金が発生した当時他の借入金債務が存在しなければ過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含むものであった場合でも,異なるところはないと解するのが相当である。」
(ケ) 従って,いわゆる過払金充当合意を含む基本契約に基づく金銭消費貸借の借り主が利息制限法所定の制限を超える利息の支払を継続したことにより過払金が発生した場合でも,民法704条前段所定の利息は過払金発生時から発生することは明らかである。
(コ) よって,被告アイフルは,民法704条前段所定の利息は過払金発生時から発生ることは明らかである。
(4) 「3.悪意の基準時についてA」について
ア 被告アイフルの主張
「平成19年6月7日最高裁判決は、『同一の貸主と借主との間でカードを利用して継続的に金銭の貸付けとその返済が繰り返されることを予定した基本契約が締結されており、当該基本契約に基づく借入金債務につき利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により過払金が発生した場合には、弁済当時他の借入金債務が存在しなければ、これをその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含むものと解するのが相当である。』と判示した。
被告は、そもそも当該判決は信販会社(オリエントコーポレーション)での事例であることや、明示の合意は一切ないことなどより、過払金充当合意そのものを否認するものであるが、仮にこの充当合意により、過払金をその後に発生する新たな借入金債務へ充当するのであれば、被告を悪意の受益者とした年5分の利息は、取引終了時より付すべきであり発生都度付すべきではない。
前記『過払金充当合意』には、最高裁判決により、『新たな借入金債務の発生が見込まれる限り、過払金を同債務に充当することとし、借主が過払金返還請求権を行使することは通常想定されていないものというべきである。したがって、一般に過払金充当合意には、借主は基本契約に基づく新たな借入金債務の発生が見込まれなくなった時点、すなわち、基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引が終了した時点で過払金が存在していればその返還請求を行使することとし、それまでは過払金が発生してもその都度その返還を請求することはせず、これをそのままその後に発生する新たな借入金債務への充当の用に供するという趣旨が含まれている』という。
過払金は、本来、期限の定めのない不当利得返還請求権であり、発生時点からいつでもその権利行使が可能であるところ、当該過払金充当合意により、取引が終了しない限り、新たな借入金債務へ充当し、その結果充当により消滅した借入金には、(当然のことながら)利息制限法所定の利息さえも付さない(付すことが出来ない)というのであるから、このような過払金には、その発生時点より民法704条にいう悪意の受益者としての年5分の利息は付すべきではなく、少なくとも、権利者が取引の継続を望まず、取引が終了し、過払金の返還請求を行った等の時点より年5分の利息を付すことが、民法412条の規定の趣旨からも適当である。
すなわち、継続的な金銭消費貸借取引の場合に発生した過払金は、その後に生じる新たな借入金債務に充当されることが当事者の合意により予定されているところ、継続取引の場合、過払金の発生状況と、新たな借入金債務への充当による過払金の解消状況とが継続的に、あるいは断続的頻繁的に惹起する可能性が大きいと考えられる。そのような可能性がある場合、一般的に、借主は、過払金に利息を付して後の借受金に充当する意思を持って過払金の返還請求しない(する)ものとするのは相当では無く、また、貸主は、過払金に利息を付けて後の貸付金に充当する意志を有すると解するのも一般的に相当ではない。そうすると、過払金充当合意が含まれる継続的な金銭消費貸借契約を締結している当事者は、通常、当該取引が終了し、過払金の返還請求を行った等の時点までの期間においては、過払金に対して利息を付する意思を有しないと認めるのが当事者の合理的意思に合致するところである。
このことは、当該過払金充当合意により、自己の過払金の運用を放棄していると解されること、民法704条が民法703条と違い、現存する利益にとどまらず、利得した金員の全額と、専ら賠償的性質として民事法定利率年5分の利息を付していることなどからも明らかである。(そうでなければ、当該過払金充当合意があるが故に、故意に長期間不当利得返還請求権を行使しないことで、弁済額から借入額を差し引いた金員以上の返還請求(例えば計50万円を借り入れ、計150万円を返済したケースにおいて、110万円の返還請求を求めること)が可能となり、契約(合意)当時予測していたであろう内容と全く異なる結果を招くものであり許されない。)」
イ 原告の認否及び反論
(ア) 最高裁判所判決の引用文のみを認め,それ以外については,否認及び争う。最高裁判所判決の引用文以外は,被告アイフルの独自の見解を展開するに過ぎず,理由となっていない。
(イ) 同判決は,確かに信販会社(オリエントコーポレーション)に対する判決ではあるが,信販会社であれ,消費者金融であれ,利息制限法所定の利率を超えた継続的な金銭消費貸借であることは何ら変わりはなく,消費者金融である被告アイフルに対しても,適用しうるものである。
(ウ) さらに,前述のとおり,悪意の受益者に関する先例となる判例は,最高裁判所第三小法廷平成19年7月17日判決(事件番号 平成18年(受)第1666号)(甲6号証)もある。
この判決によると,貸金業者が利息制限法の制限超過利息を受領したが,その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められないときは,当該貸金業者は,同項の適用があるとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことがやむを得ないといえる特段の事情がある場合でない限り,法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者,すなわち民法704条「悪意の受益者」であると推定されるものとしている。
(エ) 被告アイフルは,同判決について何ら触れておらず,独自の見解を展開するに過ぎないことは明らかである。
(オ) 本件においても,被告アイフルは,答弁書において,利息制限法所定の利率による引き直し計算を行うことについて同意し,かかる利率による引き直し計算を行った計算書を提出しているのであるから,各弁済金を受領した時点において貸金業法43条1項の適用があるとの認識を有していたとの推定を受ける。
(カ) 被告アイフルは,この推定を破るだけの反証を行っていない。
(キ) 従って,被告アイフルは,民法704条にいう「悪意」の受益者に該当する。
(6) 「4.悪意の基準時についてB」について
ア 被告アイフルの主張
「一基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引において、過払金に付さる悪意の受益者としての利息の起算日は取引終了日の翌日であること
(1) 主張の要旨
仮に悪意の受益者としての利息の起算日を過払金の請求時点であるとの主張が認められないとしても、最判平成21年1月22日(以下『本最判』という。)の判断を前提にすると、少なくとも悪意の受益者としての利息(民法第704条)の起算日は取引終了日の翌日である。以下詳述する。
(2) 悪意の受益者としての利息返還義務の前提
民法第704条は、悪意の受益者は『その受けた利益』に利息を付して返還しなければならないと規定している。当然のことながら、利息を付すためには『受けた利益』が具体的に確定している必要がある。
そして、基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引において悪意の受益者が『受けた利益』とは、過払金返還債務を意味する。
(3) 『受けた利益』の確定する時期
(ア) 本最判の判断(基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引における消滅時効の起算点)
本最判は、
@基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては、基本契約に基づく借入金債務につき利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超える利息の弁済により過払金が発生した場合には、弁済当時他の借入金債務が存在しなければ上記過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意(以下『過払金充当合意』という。)を含む。
Aこのような過払金充当合意においては、新たな借入金債務の発生が見込まれる限り、過払金を同債務に充当することとし、借主が過払金に係る不当利得返還請求権 (以下『過払金返還請求権』という。)を行使することは通常想定されていない。
Bしたがって、一般に、過払金充当合意には、借主は基本契約に基づく新たな借入金債務の発生が見込まれなくなった時点、すなわち、基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引が終了した時点で過払金が存在していればその返還請求権を行使することとし、それまでは過払金が発生してもその都度その返還を請求することはせず、これをそのままその後に発生する新たな借入金債務の充当の用に供するという趣旨が含まれているものと解するのが相当である。
として、過払金返還請求権の消滅時効は基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引が終了した時点から進行すると判断した。
(イ) 本最判の判断から導かれる『利益』の確定時期
本最判によれば、過払金充当合意には、(ア)@及びBのとおり、借主は基本契約に基づく新たな借入金債務の発生が見込まれなくなった時点、すなわち、基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引が終了した時点で過払金が存在していればその返還請求権を行使することとし、それまでは過払金が発生してもその都度その返還を請求することはせず、これをそのままその後に発生する新たな借入金債務の充当の用に供するという趣旨が含まれているのであるから、基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借契約が終了するまでは、悪意の受益者(である貸金業者)の過払金返還債務も具体的に確定しないことになる。
したがって、基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引において、悪意の受益者の『受けた利益』が具体的に確定するのは、基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引が終了した時点である。
(4) 結論(悪意の受益者の『受けた利益』の利息発生時期)
基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引において、過払金に係る不当利得返還請求権が具体的に確定し、悪意の受益者が『受けた利益』が確定するのは、後の貸付の充当が行われないことが確定した取引終了日である。
したがって、基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引における悪意の受益者としての利息の支払義務が発生する時期は、取引終了日の翌日である。
(5) 本主張と同様の主張を認めた具体的な判決例
本主張と同様に、悪意の受益者としての利息の起算日を取引終了時の翌日であることを認めたものとして、山口地方裁判所宇部支部平成21年2月25日判決(平成20年(ワ)第229号。公刊物未登載)があり、『過払金返還請求権の消滅時効が、前記1(1)記載の通り継続的な金銭消費貸借取引が終了した時点から進行すると解されるのは、過払金充当合意においては新たな借入金債務の発生が見込まれる限り、過払金を同債務に充当することとし、借主が過払金に係る不充当返還請求権(過払金返還請求権)を行使することが通常想定されていないから一般的に、過払金充当合意には、借主は基本契約に基づく新たな借入金債務の発生が見込まれなくなった時点、すなわち基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引が終了した時点で過払金が存在していれば、その請求権を行使することとし、それまでは過払金が発生してもその都度その返還を請求することはせず、これをそのままその後に発生する新たな借入金債務への充当の用に供するという主旨が含まれているものと解するのが相当であるとされるからである(前記最高裁判所平成21年1月22日第一小法廷判決参照)。そうすると、基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引が終了するまでは、過払金返還請求権も具体化しておらず、これに対する悪意の受益者としての利息の支払義務も発生していないというべきである。』と述べているところであり、また、大阪高判平成20年4月18日判決(平成19年(ネ)第3343号(最高裁不受理決定により確定済み)。公刊物未登載)においても、『本件各貸付は、基本契約に基づく連続した貸付取引であり、債務の弁済は、各貸付毎に個別的な対応関係をもって行われることが予定されているものではなく、基本契約に基づく借入金全体に対して行われ、充当の対象となるのも全体としての借入金債務であると認められるから、控訴人と被控訴人は、一つの貸付けを行う際に次の個別の貸付けを行うことが想定される契約関係にあることを前提に、複数の権利関係が発生するような事態の生ずることを望まなかったものといえ、制限超過部分を元本に充当した結果、過払金が発生した場合には、その後に発生する新たな借入金債務に充当することを合意していたと認められる。したがって、本件において、過払金の不当利得返還請求権の金額や内容は、後の貸付への充当が行われないこととなる取引終了日以降に確定するのであり、当該時点までは金額や内容が不確定、浮動的であって、後の貸付への充当の有無、充当額等により変動することが予想されるから、利得の金額や内容も不確定、浮動的であり、これにつき利息を付して返還させることは、当該利息の金額や内容自体不確定、浮動的である上、不当利得制度を支える公平の原理をも考慮すると、不相当である。本件において、上記最終完済日より前に取引が終了したといえないことは明らかであるから、控訴人主張の各日時をもって、上記利息を付すことのできる開始時点とすることはできず、上記最終完済日以降、新たな借入や返済がされることがなくなり過払金の不当利得返還請求権の金額や内容が確定して取引が終了したということができ、当該時点からの利息を付した返還を認めることができる。』と述べているところである。
したがって、これらの判決からも明らかなとおり、基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引における悪意の受益者としての利息の支払義務が発生する時期は、各過払金の発生時ではなく、取引終了日の翌日である。」
イ 原告の認否及び反論
(ア) 全て否認及び争う。
(イ) 被告アイフルの主張は,消滅時効の起算点に関する判例を引用して,民法704条前段所定の利息の発生時期を論ずるものに過ぎない。すなわち,被告アイフルの主張は,消滅時効の起算点の論点と民法704条前段所定の利息の発生時期の論点を混同するものに過ぎずない。
従って,被告アイフルの主張は,理由がない。
(ウ) 民法704条前段所定の利息の発生時期について,平成21年9月4日,最高裁判所第二小法廷判決があったので,これを引用し,原告の主張とする(甲7号証)。
「金銭消費貸借の借主が利息制限法1条1項所定の制限を超えて利息の支払を継続し,その制限超過部分を元本に充当すると過払金が発生した場合において,貸主が悪意の受益者であるときには,貸主は,民法704条前段の規定に基づき,過払金発生の時から同条前段所定の利息を支払わなければならない(大審院昭和2年(オ)第195号同年12月26日判決・法律新聞2806号15頁参照)。このことは,金銭消費貸借が,貸主と借主との間で継続的に金銭の借入とその弁済が繰り返される旨の基本契約に基づくものであって,当該基本契約が過払金が発生した当時他の借入金債務が存在しなければ過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含むものであった場合でも,異なるところはないと解するのが相当である。」
(エ) 従って,いわゆる過払金充当合意を含む基本契約に基づく金銭消費貸借の借主が利息制限法所定の制限を超える利息の支払を継続したことにより過払金が発生した場合でも,民法704条前段所定の利息は過払金発生時から発生することは明らかである。
(オ) よって,本件においても,民法704条前段所定の利息は過払金発生時から発生する。
(7) 「第4.返還すべき過払金は経済的合理性の観点より減額されること」について
ア 「1.主張の要旨」について
(ア) 被告アイフルの主張
「これまでの被告の主張に基づいて算出された過払金のうち、実際に原告に返還すべき金額は、以下に述べるとおり、経済的合理性の観点に基づいて過払金から45%相当分を減額した金額となる。」
(イ) 原告の認否及び反論
否認及び反論する。
被告アイフルの主張は,経済的合理性を根拠とするが,その経済的合理性がないばかりか,具体的な主張及び立証を欠くものであり,理由がない。
イ 「2.返還請求権の範囲について」について
(ア) 「 (1) 現存利益について」について
a 被告アイフルの主張
「被告は既に述べたとおり、悪意の受益者であることについては争うところであり、被告が善意の受益者であれば、本件不当利得返還請求において、現に利益の存する限度で利得を返還すれば足りる(民法703条)。
被告は原告を含め、顧客より受領した利息制限法超過利息の一部については既に法人税として納付しており、法人税として納付した部分に相当する範囲において被告において利益は現存していない。
従って、被告は、本件訴訟においても現に利益の存する限度である、原告より返済として受領した過払金のうち、既に法人税として納付した部分を除外した残余の部分について原告に返還すれば足りるものである。
原告からは、法人税の納付による金銭の消失は何ら被告が原告から得た不当利得とは関係ないとの反論が予想されるため以下に述べることとする。
ここで、いわゆる現存利益について念のため述べておくが、不当利得者のみならず、契約を取り消した未成年者(民法121条)や善意占有者(民法191条)などが物や金銭の返還義務を負うとき、取得したすべての利益を返還させることは酷なので、費消、滅失毀損損した分は差し引いて、現に利益を受ける限度で返還すればよいとされている。
たしかに、金銭の不当利得において利得が現存しないとされるためには、単に当該金員をもって他者に対する債務を弁済したり、必要な生活費を支弁したことだけでは足りない。
本件について、金銭の不当利得によって法人税を支払ったにもかかわらず、利益の現存が認められる場合を考察すると、利得者が損失者より得た利得によって、本来支払わなければならない法人税を納付した場合である。すなわち、被告は原告より得た利得によって法人税を支払うことにより、本来であれば当該法人税を支払うための他の支出を免れていたことになるのであるから、このような場合であれば、現存利益はあることとなる。
一方、ここで被告が指摘しているのは、利息制限法超過利息の受領による不当利得の取得と法人税の納付による不当利得の喪失は密接不可分な関係であること,及び利息制限法超過利息の受領による不当利得の取得及び法人税の納付による不当利得の喪失がなければ,被告が他の財産を消費したとはみることができないということである。
すなわち、被告は、原告を含む顧客から利息制限法超過利息の支払いがあれば、その得た利息を益金として法人税の税額を算出し国庫に納付することとなるが、利息制限法内の利息のみの支払であれば、当該超過部分だけ益金は減少することから、当然算出される法人税の税額も減少することとなり、被告は、利息制限法超過利息が原告を含む顧客から支払われたからこそ国庫に利息制限法超過利息を益金とする法人税を納付していたのであって、被告による利息制限法超過利息の受領による不当利得の取得と法人税の納付による不当利得の喪失は密接不可分な関係にあったものである。そして、利息制限法内の利息の支払いのみであれば、被告において利息制限法超過利息を益金として法人税の税額を算出し国庫に納付すべき事情はないのであるから、利息制限法超過利息の受領による不当利得の取得及び法人税の納付による不当利得の喪失がなければ、被告が他の財産を消費したとはみることができない。
したがって、被告が返還すべき過払金は、法人税として納付した限度において現存しないというべきである。
b 原告の認否及び反論
(a) 否認及び争う。
(b) 被告アイフルは,利息制限法超過利息の受領による不当利得の取得に対して法人税を納付したことにより,現存利益が減少したことを理由としている。
(c) しかしながら,被告アイフルは,利息制限法超過利息の受領による不当利得の取得に対して法人税を納付したのであれば,かかる不当利得の返還により,利益(益金)が減少したのであれば,それに応じて,更正決定を受けて払い過ぎた法人税の還付を受ければ良いのである。かかる議論を被告アイフルは見落としており,理由がない。
(d) そして,被告アイフルは,過払金の返還による損失の生ずる予測に対して,引当金を設定することができる。
ところで,引当金とは,「実際には未だ財貨又は役務の費消が確定しておらず(未費消),支払又は支払義務の確定がなされていなくても(未支出),適正な期間損益計算の見地から費用又は損失を見越し計上する場合に,借方に計上される費用又は損失に見合って借方に計上される項目」である。
現在,被告アイフルは,次のとおり引当金を設定しており,引当金設定に要する金額を損金計上している。これにより,租税上の効果(事実上の減税効果)を得ている。
被告アイフルは,平成20年4月1日〜平成21年3月31日の事業年度において,「利息返還損失引当金繰入額」として,次のとおり計上している。
連結決算ベース       金583億1500万円
被告アイフル単独決算ベース 金398億7700万円
被告アイフルは,このように多額の利息返還損失引当金繰入額を,その他の営業費用として計上している(甲8号証,71頁,112頁)。
しかも,同事業年度の有価証券報告書の連結決算の部において,被告アイフルは,「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」「4.会計処理基準に関する事項」「(3) 重要な引当金の計上」において次のとおり述べている。
前連結会計年度の行
ニ 利息返還損失引当金
将来の利息返還金の発生に備えるため,過去の返還実績を踏まえ,かつ,最近の返還状況を考慮する等により,返還見込額を合理的に見積もり計上しております。
当連結会計年度
ニ 利息返還損失引当金
同左
(甲8号証,80頁)。
加えて,同事業年度の有価証券報告書の被告アイフル単独決算の部において,被告アイフルは,「重要な会計方針」「6.引当金の計上基準」において次のとおり述べている。
前事業年度の行
(4) 利息返還損失引当金
将来の利息返還金の発生に備えるため,過去の返還実績を踏まえ,かつ,最近の返還状況を考慮する等により,返還見込額を合理的に見積もり計上しております。
当事業年度
(4) 利息返還損失引当金
同左
(甲8号証,120頁)。
従って,被告アイフルは,自ら利息返還損失引当金を「将来の利息返還金の発生に備えるため,過去の返還実績を踏まえ,かつ,最近の返還状況を考慮する等により,返還見込額を合理的に見積もり計上して」いることを認めているのであるから,被告アイフルの主張に理由がないことは明らかである。
また,前述のとおり「利息返還損失引当繰入金」を計上しており,これにより,税効果を得ている。
仮に,本件における被告アイフルの主張が正当なのであれば,有価証券報告書には,虚偽の内容を記載したことを意味する。
それにもかかわらず,この租税上の効果について,被告アイフルは,何ら触れていない。被告アイフルの主張は,税効果会計に関し,独自の見解を述べるに過ぎず,理由がない。
なお,被告アイフルは,過去において,適正な引当金を設定しなかったというのであれば,それは,被告アイフル経営者の見越しの誤りに起因するものであって,過払金被害者である原告がそ被告アイフル経営者の見越しの誤りの責任を負うものではない。
(e) 加えて,被告アイフルは,各事業年度の所得に対しておよそ40%程度の法人税有効税率を乗じて算出されていることを公知の事実としているが,かかる事実は公知の事実とは言い難く,この点,強く争う。被告アイフルは,受領した利息制限法超過利息を益金として計上したことにより,実際に,どれだけの法人税等が賦課されたのかを主張・立証する必要があるにもかかわらず,これを怠っている。
従って,被告アイフルは,この点を具体的に主張・立証されたい。仮に,被告アイフルがこの点を具体的に主張・立証しないのであれば,かかる主張は,失敗したものとして扱われるものである。
(イ) 「 (2) 現存利益に関する判例について」について
a 被告アイフルの主張
「実際、不当利得において利益が現存しないと認められた判例には以下のような事例がある。
@ 最高裁昭和50年6月27日第二小法廷判決
準禁治産者が取消の対象である金銭消費貸借契約によって得た利益を賭博で浪費した事案において、『被上告人が本件金銭消費貸借契約に基づいて得た利益は、賭博に浪費されて現存しないものであるから、被上告人はその返還義務を負わないとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。』として、契約を取消した行為無能力者に対する利得返還請求権に関する事例であるが、取消しうべき行為によって得た事実上の利益が、そのまま又は形を変えて残存しているときにかぎり、これを返還するを要し、またそれだけの返還だけで足り、受け取ったものを浪費したときは、利益は現存しなくてよいとされている。
A 名古屋地裁昭和60年11月15日判決
被告が第三者から取立てを依頼された手形を銀行(原告)に預け入れ、手形が不渡りになっているにもかかわらず、手形相当金額を普通預金口座から払戻しを受け、被告が払戻し後直ちに上記第三者に当該金員を交付した事例において、『被告は、原告から金1700万円の支払があれば右金員を(取立委任者)へ交付するが、本件本件手形が不渡りになれば(取立委任者)に交付する義務がないことを当然の前提として(取立委任者)から本件手形の取立に受任したものであることは明らかであり、被告は、金1700万円が原告から支払われたからこそ(取立委任者)へ交付したのであって、被告による右金員の取得と喪失は密接不可分な関係にあったものである。そして、右以外には、当時被告において(取立委任者)の支払をなすべき事情は、本件全証拠によっても認められないから、右1700万円の取得及び喪失がなければ、被告が他の財産を消費したとみることはできない。従って、被告が返還すべき利益は現存しないというべきであり、抗弁は理由である。そうであれば、原告の不当利得の請求も理由がない。』として、被告に返還すべき利益は現存しないことを認めたものである。
B 高松高裁昭和45年4月24日第二民事部判決
旧軍人の遺族扶助料の支給裁定の取消処分に基づき、誤払いされた遺族扶助料について返還を求めたところ、既に、自己の生活費、学費等に費消していた事案において、『その金額は比較的少額であり、また、支給方法も一定額を継続的に支給するというものであるから、前期認定のごとき事情にあった被控訴人の当時の生活状態からすると、この程度および形による収入の増加については、一般低所得給料生活者の昇給の場合と同様、それに伴って応分の支出の増加が生じたに相違ないものと認められるとともに、かような収入の増加がなかったならば、それはそれで右のごとき余分の支出をしないで済ますこともできたはずであると推側されるのである。のみならず、かりに右扶助料が支給されたのちしばらくは、これによって喪失を免れた財産が一部残存していたとしても、被控訴人に対してその返還請求がなされたのは右扶助料の最終支払日からでもすでに約5年が経過したのちのことであるから、その問には、右残存利益も、本件扶助料の支給にもとづく収入の増加に応じて拡大された生活規模に見合う支出のためにことごとく費消されてしまったものと推認するのが相当であって、これらの点を総合して考えるならば、本件においては、被控訴人の得た利益は有形的に現存しないばかりではなく、それを得たことによって喪失を免れた財産もなく、その他これを得なかったならば他の財産を費消していたであろうと認められる事情もないというべきであり、したがって、被控訴人の受けた利益はすでに現存しないと認めるのが相当であるといわなければならない』として、不当利得によって収入が増加することに起因した支出の増加についても、利益の現存を否定した事例である。」
b 原告の認否及び反論
(a) 判例の存在については,争わないが,被告アイフルの主張に対しては,否認及び争う。
(b) 「@ 最高裁昭和50年6月27日第二小法廷判決」について
本件は,準禁治産者が取消の対象である金銭消費貸借契約によって得た利益を賭博で浪費した事案において、「被上告人が本件金銭消費貸借契約に基づいて得た利益は、賭博に浪費されて現存しないものであるから、被上告人はその返還義務を負わない」ことを認めた判決である。
被告アイフルは,本件と同様に賭博により浪費したというのであろうか。それとも,某信託銀行の支援のために要した金銭を浪費というのであろうか。本件と全く関係のない判決の引用でしかない。
(c) 「A 名古屋地裁昭和60年11月15日判決」について
被告が第三者から取立てを依頼された手形を銀行(原告)に預け入れ、手形が不渡りになっているにもかかわらず、手形相当金額を普通預金口座から払戻しを受け、被告が払戻し後直ちに上記第三者に当該金員を交付した事例において、「被告は、原告から金1700万円の支払があれば右金員を(取立委任者)へ交付するが、本件本件手形が不渡りになれば(取立委任者)に交付する義務がないことを当然の前提として(取立委任者)から本件手形の取立に受任した」旨の事実認定を行い,これを前提として,「被告は、金1700万円が原告から支払われたからこそ(取立委任者)へ交付したのであって、被告による右金員の取得と喪失は密接不可分な関係にあったものである。」と判断したものである。この判断を基に,「右以外には、当時被告において(取立委任者)の支払をなすべき事情は、本件全証拠によっても認められないから、右1700万円の取得及び喪失がなければ、被告が他の財産を消費したとみることはできない。従って、被告が返還すべき利益は現存しないというべきであり、抗弁は理由である。そうであれば、原告の不当利得の請求も理由がない。」として、被告に返還すべき利益は現存しないことを認めたものである。
従って,本判例が,手形の交付と現金の取得との関係で,現金を取得したのであれば,手形の交付によって,不当利得は存在しない旨を述べたものに過ぎないことは,明らかである。
よって,本件過払金返還請求とは,何ら関係のない判決であることは明らかであり,被告アイフルの主張には理由がない。
(d) 「B 高松高裁昭和45年4月24日第二民事部判決」について
本判決は,旧軍人の遺族扶助料の支給裁定の取消処分に基づき、誤払いされた遺族扶助料について返還を求めたところ、既に、自己の生活費、学費等に費消していた事案において、被控訴人の当時の生活状態から,一般低所得給料生活者の昇給の場合と同様、収入の増加に伴って応分の支出の増加することを認め,かような収入の増加がなかったならば、それはそれで右のごとき余分の支出をしないで済ますこともできたはずであると推側されるとし,又,本件扶助料の支給にもとづく収入の増加に応じて拡大された生活規模に見合う支出のためにことごとく費消されてしまったものと推認されるとしたものである。この推認から,被控訴人の得た利益は有形的に現存しないばかりではなく、それを得たことによって喪失を免れた財産もなく、その他これを得なかったならば他の財産を費消していたであろうと認められる事情もないというべきであり、したがって、被控訴人の受けた利益はすでに現存しないと認めるのが相当であるとしたものである。
この判例を前提として,被告アイフルの利益の現存を否定するのであれば,被告アイフルの収入が低所得者と同様に遺族扶助料の場合と同様でなければならない。しかしながら,被告アイフルは,長年にわたって,多大な利益を上げており,その収入も低所得給料生活者同様のものということはできない。1998年頃,被告アイフルは,住友信託銀行の経営危機の際には,その救済に入ったといわれるほど,潤沢な資金を有していたのである(甲9号証)。
従って,本判例は,本件とは全く関係のない事例に対するものであって,これを根拠として,収入が増加することに起因した支出の増加について,利益の現存を否定する根拠とはならない。
よって,被告アイフルの主張には,理由がない。
(ウ) 「 (3) 運用利益について」について
a 被告アイフルの主張
「また、原告からは、仮に被告の主張が認められ、被告が善意の受益者であるとしても、最高裁昭和38年12月24日第三小法廷判決を根拠に、被告は原告から得た不当利得を運用することにより利益を得ているのであるから、運用利益も返還すべきであるとの主張が予想される。
しかしながら、上記判例は、甲会社の設立に際して財産引受が無効であったため、その引き受けた丙会社の乙銀行に対する手形金債務の弁済が無効とされた事案であるが、乙銀行が当該弁済金を受領してから返還するまでの間のこれを運用して得べかりし商事法定利率による利益の返還につき、『不当利得された財産について、受益者の行為が加わることによって得られた収益につき、その返還義務の有無ないしその範囲については争いのあるところであるが、この点については、社会観念上受益者の行為の介入がなくても不当利得された財産から損失者が当然取得したであろうと考えられる範囲においては、損失者の損失があるものと解すべきであり』と述べているとおり、実際に被告が過払金によっていかなる運用利益を上げたか否かではなく、あくまで損失者である原告について支払った過払金について当然収益を取得したと考えられるかどうか判断されなければならず、かつ、『したがって、それが現存するかぎり同条にいう『利益ノ存スル限度』に含まれるものであって、その返還を要するものと解するのが相当である』と述べているとおり、仮に当該過払金について原告が社会観念上被告の行為の介入がなくても不当利得された財産から当然取得した収益が考えられるとしても、すでに述べているとおり、被告においてすでに法人税の納付により、それが現存していないのであるから、やはり被告が返還すべき過払金は法人税として納付した限度において現存しないというべきである。」
b 原告の認否及び反論
否認及び争う。
被告アイフルは長々と判例を批判するが,そもそも当該判例自体が本件とはかけ離れたものである。
原告は,何ら商事法定利率に基づく運用益を主張して返還請求を求めていない。
従って,本件とは何ら関係のない判決を根拠とする被告アイフルの主張は,失当である。
ここでの被告アイフルの主張から,被告アイフルが各個別の事案に応じた答弁書を提出せず,全ての不当利得返還請求事件において,画一化された答弁書や準備書面が提出していると考えられる。
被告アイフルは,各事案を十分に吟味した上で,各個別の不当利得返還請求事件に対する答弁書や準備書面を提出して,真面目に訴訟を遂行されたい。
原告は,ここに苦言を呈するものである。
(エ) 「 (4) 小括」について
a 被告アイフルの主張
「以上述べたとおり、利息制限法超過利息の受領による不当利得の取得と法人税の納付による不当利得の喪失は密接不可分な関係であること、利息制限法超過利息の受領による不当利得の取得及び法人税の納付による不当利得の喪失がなければ、被告が他の財産を消費したとはみることができないことより、被告が返還すべき過払金は、法人税として納付した限度において現存しない。」
b 原告の認否及び反論
否認及び反論する。
各個別の論点については,既に論破したところである。
すなわち,利息制限法超過利息の受領による不当利得の取得と法人税の納付による不当利得の喪失は,関係がない。
そもそも被告アイフルが過払金返還請求によって生じた損失を税務署に対して,更正請求しなかったこと,及び,被告アイフルが過払金返還請求によって生ずるであろう損金を見越して引当金を計上しなかったことによって,納付する必要のない法人税等を納付したに過ぎないのである。
従って,利息制限法超過利息の受領による不当利得の取得と法人税の納付による不当利得の喪失とは,関係がない。
よって,被告アイフルの主張には,理由がない。
ウ 「3.原告の返還請求権の具体的な範囲について」について
(ア) 第1段落について
a 被告アイフルの主張
「上記2で述べたとおり、被告が返還すべき過払金は、法人税として納付した限度において現存しないところであるが、具体的に被告が取得した過払金のうちどれくらいの割合で法人税として納付されたことにより、利益が現存していないかについて、以下に述べるものとする。」
b 原告の認否及び反論
否認及び争う。
前述のとおり,被告アイフルが取得した過払金と法人税等の額とは,直接には関係のないものであり,被告アイフルが取得した過払金とこれにより払い過ぎた法人税等との関係を肯定する被告アイフルの主張は,理由がない。
(イ) 第2段落について
a 被告アイフルの主張
「被告会社は、日本国内に本店を有する法人であることから、これまで各事業年度において法人税の納税義務を負い、実際に納付を行ってきた。その納付額は、過払金返還請求が多数発生している、ここ数年の事業年度は除いて、その以前においては毎年450億円程度にのぼるものであり(周知の事実、被告アイフルホームページ参照)、各事業年度の所得に対しておよそ40%程度の法人税有効税率を乗じて算出されている(公知の事実)。」
b 原告の認否及び反論
否認及び争う。
確かに,各事業年度の所得に対して,およそ40%程度の法人税及び事業税が賦課されることはある。しかし,各事案にそれが当てはまるとは限らない。約40%の税率の中に被告アイフルが事業税を含めていないことからも,被告アイフル自身がこれを確認していないことの証左であり,その主張は理由がない。
従って,被告アイフルが周知の事実及び公知の事実としている事実は,周知及び公知の事実ではない。
被告アイフルは,これらの事実を周知及び公知の事実とするのであれば,これを立証されたい。
そもそも被告アイフルは,平成20年4月1日〜平成21年3月31日の事業年度において,「利息返還損失引当金繰入額」として,金583億1500万円をその他の営業費用として計上しており,これによって税金の支払いを免れているのである(甲8号証,71頁)。
従って,被告アイフルの主張に理由がないことは明らかである。
(ウ) 第3段落乃至第10段落について
a 被告アイフルの主張
「しかしながら、既に述べているとおり、被告会社においては、貸金業法を遵守することにより利息制限法超過利率による貸金契約を消費者と締結し、利息制限法超過利息を受領することにより、その利息金を益金として各事業年度において所得の額を計上してきたところである。
すなわち、既に被告会社が支払った法人税には、利息制限法超過部分の利息が含まれていたものである。
概算ではあるが、過去の顧客との契約金利の平均値を28%とすると、そのうち利息制限法超過部分(金利18%〜28%の部分すなわち10%相当部分)は、いわゆるグレーゾーン金利帯からの収入ということとなる。すなわち、被告会社における毎年の収入額のうち約35%(10%÷28%×100)はグレーゾーン金利帯に該当するのであるから、今になって、貸金業法43条のみなし弁済を否定するのであれば、当然、被告会社における毎年の収入額は約35%減少した金額だったことになる。
当然、収入が減少するのであれば、その収入を益金として算出し納付してきた法人税の金額は過大なものであったところであり、言うなれば、『税金の払い過ぎ』の状態だった。
仮に利息制限法超過部分の利息を含めた収入(益金)を100とすると、概ね損金は65、益金から損金を差引いた課税所得は35となり、毎年利息収入の35%が課税所得だった計算となる。
ここで、仮にグレーゾーン金利帯の収入がなかったとすると、収入は35%減少することになるから,収入(益金)は100から65に減少することとなり,損金65を差引くと,課税所得は0となる。
すなわち,被告会社において,仮に全ての取引についてみなし弁済を否定されると,法人税として納付すべきだった税金はほぼ0となる計算となり,支払った法人税は,全てグレーゾーン金利体帯からの収入すなわち利息制限法超過部分の利息金より支払ったこととなる。
実際に支払ってきた毎年の法人税額は、毎年受領してきた利息制限法超過部分の利息金額の約45%程度に相当することより、毎年受領してきた利息制限法超過部分の利息金のうち、その約45%については法人税の原資となっていた計算となる。言い換えれば、過払金の約45%は既に税金として支払っていて、被告の手元には残っていないこととなり、経済的合理性の観点から言えば、原告に対しては過払金の残余の部分、すなわち被告の手元に残っている過払金の55%相当の部分のみ支払えば足りる。」
b 原告の認否及び反論
(ア) 全て否認及び争う。
(b) そもそも被告アイフルは,平成20年4月1日〜平成21年3月31日の事業年度において,「利息返還損失引当金繰入額」として,次のとおり計上している。
連結決算ベース       金583億1500万円
被告アイフル単独決算ベース 金398億7700万円
(c) 被告アイフルは,このように多額の利息返還損失引当金繰入額を,その他の営業費用として計上している(甲8号証,71頁,112頁)。
(d) しかも,同事業年度の有価証券報告書の連結決算の部において,被告アイフルは,「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」「4.会計処理基準に関する事項」「(3) 重要な引当金の計上」において次のとおり述べている。
前連結会計年度の行
ニ 利息返還損失引当金
将来の利息返還金の発生に備えるため,過去の返還実績を踏まえ,かつ,最近の返還状況を考慮する等により,返還見込額を合理的に見積もり計上しております。
当連結会計年度
ニ 利息返還損失引当金
同左
(甲8号証,80頁)。
(e) 加えて,同事業年度の有価証券報告書の被告アイフル単独決算の部において,被告アイフルは,「重要な会計方針」「6.引当金の計上基準」において次のとおり述べている。
前事業年度の行
(4) 利息返還損失引当金
将来の利息返還金の発生に備えるため,過去の返還実績を踏まえ,かつ,最近の返還状況を考慮する等により,返還見込額を合理的に見積もり計上しております。
当事業年度
(4) 利息返還損失引当金
同左
(甲8号証,120頁)。
従って,被告アイフルは,自ら利息返還損失引当金を「将来の利息返還金の発生に備えるため,過去の返還実績を踏まえ,かつ,最近の返還状況を考慮する等により,返還見込額を合理的に見積もり計上して」いることを認めているのであるから,被告アイフルの主張に理由がないことは明らかである。
仮に,本件における被告アイフルの主張が正当なのであれば,有価証券報告書には,虚偽の内容を記載したことを意味する。
エ 「4.結論」
(ア) 被告アイフルの主張
「したがって、実際に原告に返還すべき金額は、原告被告間の取引を利息制限法所定利率で再計算して算出された過払金のうち経済的合理性の観点に基づいて45%相当分を減額した金額、すなわち過払金の55%に相当する金額である。」
(イ) 原告の認否及び反論
否認及び争う。
被告アイフルの主張は,負債の部における「利息返還損失引当金」を計上し,また,損益計算書における「利息返還損失引当金繰入額」を計上することにより,税効果を得ていることを無視したのか,このような基本的な会計学上の知識を欠いた主張を論拠としており,理由のないことは明らかである。
よって,被告アイフルは,訴状記載の請求の趣旨どおりの過払金及びこれにより生じた利息を支払う義務がある。
(8) 「第5.取引の分断について」について
ア 「1.平成19年2月13日最高裁判決について」について
(ア) 被告アイフル主張の「平成19年2月13日最高裁判決」が存在することについて,認める。
(イ) その余については,否認及び争う。
被告アイフルは,同判決の一部を切り貼りして,趣旨を歪曲したものであり,同判決を根拠とした主張には理由がない。
そもそも,この判決は、継続的な貸付が繰り返されることを予定した基本契約が締結されていない場合であり、さらに反復継続した取引を予定していたとはいいにくい事案についてのものである。このような特別な事情の下における判決であり、本件を含めた、一般的な消費者金融業者との間の取引の事案に妥当するものではない。
イ 「2.平成20年1月18日最高裁判決について」について
(ア) 被告アイフル主張の「平成20年1月18日最高裁判決」が存在することについて,認める。
(イ) その余については,否認及び争う。
(ウ) 原告の主張
被告アイフルは,同判決の一部を切り貼りして,趣旨を歪曲したものであり,同判決を根拠とした主張には理由がない。
同判決においては、基本契約が異なる場合に第1の基本契約に基づく取引にかかる過払金が第2の基本契約に基づく取引に係る債務に充当される場合の特段の事情について判示している。その特段の事情として掲げられた中には、「第1の基本契約に基づく貸付け及び弁済が反復継続して行われた期間の長さやこれに基づく最終の弁済から第2の基本契約に基づく最初の貸付けまでの期間」や「第1と第2の各基本契約における利率等の契約条件の異同等」が挙げられている。本件の場合には平成8年8月16日から平成14年11月28日までの6年3か月という長期間にわたって貸付と弁済が繰り返され、そのわずか1か月19日後に、再度貸付けがなされており、その契約条件も利息や遅延損害金といった内容は全く同じである。このような事情からは、同判決に照らした場合、本件は明らかに「第1の基本契約に基づく取引と第2の基本契約に基づく取引とが事実上1個の連続した貸付取引であると評価することができる場合」であって、「第1の基本契約に基づく取引により発生した過払金を新たな借入金債務に充当する旨の合意」が存在するものと解される事案である。
ウ 「3.借入の申込時の審査について」について
(ア) 原告は,全て否認及び争う。
(イ) 原告の主張
被告アイフルも認めているとおり,少なくとも2回目の取引の申込時において,何らの信用調査を行っていない。
また,被告アイフルは,「無担保無保証の商品においては,申込時に本人確認書類しか受け取っておらず,具体的な書類等の信用調査を行っていない。」旨主張する。しかし,現実に,被告アイフルは,新規借入の際には,所謂ブラックリストに掲載されているか否かの調査を行っており,被告アイフルの主張は,実体を無視した主張であり,理由がない。
被告アイフルが,2回目の取引以降の取引開始時に実質的な審査を行っていないことを認めていることからも,1回目の取引と2回目の取引との間で連続性が認められる。
エ 「4.契約番号について」について
(ア) 原告は,全て否認及び争う。
(イ) 被告アイフルは,答弁書添付の取引計算書において次の会員Noを使用している。
別紙1−1(被告アイフル主張の第1取引)
会員No:0046−0174767
別紙1−2(被告アイフル主張の第2取引)
会員No:0046−0174767
被告アイフルの主張の骨子は,「ほぼ」一貫した会員番号の使用している場合に関してであり,本件のように,全く同じ会員番号を使用した場合とは異なるものである。
従って,被告アイフルの主張は,本件には当てはまらず,理由がない。
オ 「■.“似たようで異なる”番号となることは当然であること」について
(ア) 原告は,全て不知である。争う趣旨である。
(イ) 被告の主張は,「各取引にかかる契約番号が一部酷似」した会員番号の使用している場合に関してであり,本件のように,全く同じ会員番号を使用した場合とは異なるものである。
従って,被告アイフルの主張は,本件には当てはまらず,理由がない。
カ 「6.まとめ」について
原告は,全て争う。被告アイフルの主張に理由がないことは既に触れたところである。
キ 取引が一連のものであることに関する原告の主張
(ア) 同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付と返済が繰り返されている金銭消費貸借取引においては,借主は,借入総額の減少を望み,複数の権利関係が発生するような事態が生ずることは望まないのが通常である。このような借主の合理的意思からすれば,過払金発生後の貸付に対しても当然に過払金の充当を認めるべきである。借主が相殺の意思表示をしなければ,過払金債権と貸付金債務が併存し,かつけ金債務に過払金債権が充当されず,貸付金の元本が減少しないというのであれば,法的に無知な借主の犠牲の下,将来,貸金業者は,過払金返還債権が消滅時効してしまうことによる利益と高利の貸付金元本が確保されるという利益を得る可能性があり不当である。
(イ)a 本件各取引は,いずれも消費者金融業者である被告アイフルが,一般市民である原告に対して,利息制限法所定の制限利率を超える高金利,無担保の貸付をしたものであり,また,一定額以上の弁済をしていれば貸借取引が継続していくリボルビング式の契約で,実際に頻繁に貸付と返済が繰り返されていた。
b 本件各取引開始時の貸付は,いずれも被告アイフルの同一の支店でなされ,被告アイフルは,本件各取引を同一の顧客番号「0046−0174767」で管理していた。
c また,原告は,第1取引開始時も第2取引開始時も,勤務先,住居,家族構成,年収等殆ど変わらなかった。
d 以上の事実によれば,本件各取引は,一定の借入限度額を定めた上で借入と弁済を繰り返す継続した一連の取引というべきである。
e さらに,第1取引の期間中,借入限度額の範囲内で借入と弁済が頻繁に繰り返されていたところ,同取引終了日である平成14年2月19日の時点において,原告・被告アイフル間で貸借取引関係を終了させる手続きをした事実も存在しない。
f 加えて,別個の貸借取引を開始する場合には,新たな与信判断を行い,収入を証明する書類等も新たに徴求するのが通例であるところ,本件においては,第2取引開始時に,本人を証明する書類のコピーを授受したものの,収入証明書類等の授受は行っていない。
このように,被告アイフルによる実質的な審査すなわち新たな与信判断が行われた事実はない。
従って,第2取引開始時に締結された極度借入基本契約は,第1取引と同様の貸借関係を従前どおり継続することを,原・被告アイフル間で確認したに過ぎないものであることは,明らかである。
よって,第2取引が,原告・被告アイフル間で第1取引と別個の貸借取引関係を回する旨の合意をしたものということはできない。
g 以上のとおり,本件各取引は継続した一連の取引と認められるから,原告が平成14年2月19日に金50万8062円の支払をした時点で生じた過払金44万7303円は,その後,平成14年4月10日に被告アイフルから金50万円を借り入れた時点で,何らの意思表示をすることなく当然に借入金債務に充当され,さらにその後も,過払金が生じていれば,その後に原告が借り入れた借入金債務に充当されるものである。

第2 被告武富士の答弁書に対する認否及び反論
原告・被告武富士間の取引については,被告武富士作成の「取引履歴照会表」(甲10号証)により,明らかである。

第3 原告の主張
原告・被告ら間の取引経過が正しいことは,これらの取引経過が被告らによって作成されたものであることから明らかである。また,被告アイフルの主張には理由がないことは,前述のとおり,明らかである。
よって,原告は,速やかな判決を御願いするものである。

第4 被告アイフルに対する求釈明
現在,被告アイフルは,過払金返還について,利息返還引当金を取り崩す形で対応している(甲8号証)。
では,被告アイフルが,過去において,利息返還引当金を計上する以前においては,過払金返還を行った際の会計処理は,どのように行っていたのかを明らかにされたい。





   

Copyright © 2010- 佐野隆久 All Rights Reserved.