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CFJの答弁書(全面公開)
平成23年5月,これまで,訴訟前の和解か訴訟提起後でも,訴外和解をしてきたCFJがとうとう全面戦争を布告してきました。

アイフルや全面降伏前夜の武富士の準備書面ほどの量ではありませんが,論点は,きっちりと押さえています。
邪推ですが,武富士の残党をCFJが雇ったように思えます。

ここであげられている論点は,次の二つです。
1 CFJは,民法704条の「悪意の受益者」に当たるか。
2 
一連取引取引の分断があるか。
CFJ士の答弁書を公開します。
分量が多いので数日に分けて公開します。
また,ワープロを平打ちしたため,誤字脱字が多いかもしれませんが,ご容赦下さい。

第1.請求の趣旨に対する答弁
1、原告の被告CFJ合同会祉(以下、「被告」という。)に対する請求を棄却づる。
2、訴訟費用は原告の負担とする。
との判決を求める。

第2.請求の原因に対する答弁・認否(被告CFJ合同会社に対する部分)
1、請求の原因に対する答弁・認否の前に、被告について説明しておく。被告は、平成15年1月1日に、訴外ディックファイナンス株式会社が、訴外アイク株式会社及び訴外株式会社ユニマットライフを吸収合併し、同日、CFJ株式会社へ商号変更して成立した会社である。(当該経緯の登記は、平成15年1月6日に完了した)その後、平成20年11月28日にCFJ株式会社から、CFJ合同会社へ組織変更した。
2,第1項については「高金利」を除き、認める。
3,第2項については、次のとおりである。
(1)原被告間に、甲第3号証の2の取引明細書で示される金銭消費貸借取引(以下、「本件取引」という。)を原因とする債権債務が存在する(もしくは、した。)ことは認める。
(2)原告は、本件取引を一連充当計算しているが、本件取引は単一の基本契約に基づく一連の取引ではなく、平成13年12月8日から平成18年3月31日までの取引(以下、「第1取引」という。)と、平成18年8月27日から平成21年12月1日までの取引(以下、「第2取引」という。)に分断されるため、原告の一連充当計算については、否認もしくは争う。
被告は第1取引、第2取引を利息制限法所定の利率に引き直して計算した計算書を別紙計算書1、同2として提出する。
(3)原告が示した訴状別紙利息制限法に基づく法定金利計算書3については、各回取引における年月日、借入金額、弁済額は認めるが、第1取引ないし第2取引を1つの取引として一連計算している点及び、被告を悪意の受益者とする過払利息を付している点については否認する。
(4)被告が「悪意の受益者」(民法704条)に該当するとの原告主張については、否認もしくは争う。
(5)その余については否認する。

第3.訴状別紙計算書に対する答弁・認否
1、訴状別紙利息制限法に基づく法定金利計算書3については、各回取引における年月日、借入金額、弁済額は認めるが、第1取引ないし第2取引を1つの取引として
一連計算している点及び、被告を悪意の受益者とする過払利息を付している点については否認する。

第4.被告は悪意の受益者に該当しないこと
1、はじめに
原告は、みなし弁済が成立しない以上、制限超過利息を収受してきた被告は「悪意の受益者」に該当すると主張するようである。
しかしながら、以下で詳述する通り、原告の主張は、「悪意の受益者」に関する一連の最高裁判例を誤解している為、失当である。

2、最高裁の「悪意の受益者」に関する解釈について
(1)そもそも、最高裁平成19年7月13日判決(同庁平成18年(受)第276号、民集第61巻5号1980頁、以下、「平成19年判決」という。)は、「貸金業者が制限超過部分を利息の債務の弁済として受領したが、その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められない場合には、当該貸金業者は、同項の適用があるとの認識を有しており、かつ、そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り、法律1の原因がないことを知りながら過払金を取得した者、すなわち民法704条のr悪意の受益者』であると推定されるものというべきである。」と判示している為、みなし弁済が成立しない場合であっても、貸金業法43条1項の適用があると貸金業者が認識しており、かつ、当該認識を有するに至ったことがやむを得ないといえる特段の事情の存在する限り、「悪意の受益者」であると推定することはできないものと解される。
この点、最高裁平成21年7月10日判決(同庁平成20年(受)第1728号、民集第63巻6号1170頁、以下、「平成21年判決」という。)も、「充足しない適用要件がある場合には、その適用要件との関係で上告人が悪意の受益者であると推定されるか否か等について検討しなければ、上告人が悪意の受益者であるか否かの判断ができないものというべきである。」と判示している為、みなし弁済が成立しない場合でも、直ちに貸金業者が「悪意の受益者」であると推定される訳ではないことは明白である。
(2)そして、平成21年判決は、期限の利益喪失特約の下での弁済につき、最高裁平成18年1月13日判決(同庁平成16年(受)第1518号、民集60巻1号1頁、以下、「平成18年判決」という。)を踏襲し、「債務者が利息として任意に支払った」ものではないことを肯定したうえ、「平成18年判決が言い渡されるまでは、貸金業者において、期限の利益喪失特約下の支払であることから直ちに同項の適用が否定されるものではないとの認識を有していたとしてもやむを得ないというべきであり、貸金業者が上記認識を有していたことについては、平成19年判決の判示する特段の事情があると認めるのが相当である。」と判示している。
そして、そのように解する理由として、「平成18年判決が言い渡されるまでは、平成18年判決が示した期限の利益喪失特約の下での制限超過部分の支払(以下「期限の利益喪失特約下の支払」という。)は原則として貸金業法43条1項にいう「債務者が利息として任意に支払った」ものということはできないとの見解を採用した最高裁判所の判例はなく、下級審の裁判例や学説においては、このような見解を採用するものは少数であり、大多数が、期限の利益喪失特約下の支払というだけではその支払の任意性を否定することができないとの見解に立って、同項の規定の適用要件の解釈をしていたことは公知の事実である。平成18年判決と同旨の判断を示した最高裁平成⊥6年(受)第424号同⊥8年1月24日第己小法廷判決・裁判集民事219号243頁においても、上記大多数の見解と同旨の個別意見が付されている。」ことを挙げている。
すなわち、平成21年判決は、当該事件における個別具体的な取引の状況を検討するのではなく、その当時の判例や学説の状況を一般的に考察することにより、ヒ記特段の事情の有無を判断している。故に、17条書面の交付に係る特段の事情の有無や、18条書面の交付に係る特段の事情の有無についても、一般的な取引状況を検討すれば足りると解される。
(3)この点、東京高裁平成22年10月27日判決(同庁平成22年(ネ)第3784号、以下、「東京高裁判決」という。)も、被告と同様の見解を表明している。すなわち、被控訴人(一審原告)が、「本件各取引のすべての取引について17条書面又は18条書面を交付した事実を、個別に立証しなければならない。」と主張したのに対し、「控訴人は、貸金業法43条1項の適用があると主張しているのではなく、
上記特段の事情があることを主張しているにすぎないから、被控訴人を含む債務者
に対し、17条書面又は18条書面を交付する業務体制を構築していたことを立証
すれば足りるというべきである。」との見解を表明している(乙第1号証)。
そして、東京高裁判決では、「@契約書を借主に交付していた」、「AATMでの貸付及び店頭での貸付の都度、遅滞なく、借主に対し17条書面を交付する業務体制を取っていた」、「BATM店頭での弁済及び提携ATM又は店頭での弁済の都度、遅滞なく、借主に対し18条書面を交付する業務体制を取っていた」として、被告が借主に対し17条書面又は18条書面を交付する業務体制を構築していたことが認められている。
(4)なお、一般的立証で足りるとされる見解が支持される裏づけとしては、被告会社の資料の保管状況からも優に認められるべきである。被告は、全ての契約書原本及び顧客ファイル、17条書面・18条書面等を保管箱に収納し保管・管理を行っているが、乙第2号証の1ないし5は現在被告が行っている一顧客の18条書面(ATMジャーナル)の捜索風景を撮影したものである。
ア、まず、倉庫には顧客日座数として.約660万口座の資料が保管され、1口座には平均して30種類の顧客資料(領収書、本人確認資料など)が存在する。そして、全国の支店が閉鎖された時期、約700支店から一斉に顧客資料などの発送が倉庫に一度に送られた為、倉庫内部において各支店単位や契約日単位、または完済口座、譲渡債権口座など検索に必要な情報単位のセグメントは未だに完成されていない状況にある。ダンボールにして約10万個から15万個が上記のように検索困難な状況下で倉庫に保管されている。目安とすれば50世帯用のマンションー棟くらいの規模になる。
現在、この倉庫では、約30名の社員または契約社員が、裁判等で必要とする顧客資料を捜索している状況にある。
イ、次に、ATMジャーナル(18条書面)の捜索手順について説明する。まず、乙第2号証の1から、一顧客の必要な書類を抽出するため、該当の取引支店ATMジャーナルが入っている保管箱を乙第2号証の2のように特定する。一顧客のATMジャーナルは該当の取引年月日、取引された支店のATM(機器)が相違するため、特定されたとはいえ該当の保管箱は10箱ないし20箱に及ぶこともある。
そして、ATMジャーナルの保管箱の中を撮影したものが、乙第2号証の3であるが、保管箱の中には数日間分(保管箱により異なる)のATMジャーナルのロールが50本から300本が収納されており、この中から該当取引のATMジャーナルを特定する作業が必要となる。乙第2号証の4はATMジャーナルのロー一ルを広げ、取引日を確認している様子である。ATMジャーナルのロールは、使用されたATMの使用頻度により、1ロールが1日分の場合や10日分であったりもする。
乙第2号証の5は、特定されたATMジャーナルのロールから、該当の取引の部分を切り取りしている作業である。
ウ、以上のことから、被告に対し全ての取引についての明細書等の提出を強いることは、現実的ではない。したがって、被告は借主に対し17条書面又は18条書面を交付する業務体制を構築していたが、故に、貸金業法43条1項の適用があるとの認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情が存在することの立証活動は、当該顧客に対する具体的な立証まで必要ではなく、当該業者の業務体制に対する一般的な立証で足りると解されるのである。
ただ、御庁において、顕著な事実ではないと認定される場合に備えて、以下、被告が借主に対し17条書面又は18条書面を交付うる業務体制を構築していたこと及び被告が交付していた17条書面及び18条書面について貸金業法43条1項の適用があるとの認識を有するに至ったとしても、やむを得ないといえる特段の事情を認めることができることを、主張立証する。

3、貸付の際に17条書面を交付していたこと
(1)被告の極度額借入契約書兼告知書のサンプル(乙第3号証の1・2)には、17条書面の受領者署名欄が存在するし、また、領収証兼ご利用明細票のサンプル(乙第4号証の1・2)によれば、当該標準書式が客観的に存在し、かつ、同書式がATM(現金自動預払機)から機械的に交付されていたという一般的な状況を確認することができる。
(2)もっとも、上記書面には、「返済期間及び返済回数」が記載されていない為、最高裁平成17年12月15日判決(同庁平成17年(受)第560号、民集第59巻10号2899頁、以下、「平成17年判決」という。)によれば、17条書面として認めることはできない為、「貸付の都度、17条書面を交付したこと」という要件を充足しないかもしれない。
(3)しかしながら、リボルビング返済方式を採用した基本契約の下では、極度額の範囲内で借入れ及び返済を繰り返すことが予定されている為、予め「返済期間及び返済回数」を記載することは不可能であるうえ、そのような場合であっても、「返済期間及び返済回数」を17条書面に記載しなければならないことを示した下級審の裁判例及び学説が大多数を占めていたという一般的な状況にはなかったことに鑑みれば、被告が、当該書面の交付をもって、貸金業法43条1項の適用があるとの認識を有するに至ったとしても、やむを得ないといえる特段の事情を認めることができる。
この点、既に援用した東京高裁判決も、「…このようなリボルビング方式による貸付けでは、そもそも個々の貸付けについての「返済期間及び返済回数」及び各回の1返済金額」を定めることができないから、これらの事項を17条書面に記載することはできない。このような場合であっても、これらの事項に準じた事項として、毎月定められた返済期日に最低返済額を返済する場合の返済期間、返済回数及び各回の返済金額を記載すべきであることは、平成⊥7年判決が判示したところであるが、@回判決が言い渡されるまでは、その記載事項について下級審の裁判例が
分かれており、次回の最低返済額とその返済期日が記載されていれば足りるとする
裁判例も相当程度存在していたこと、A監督官庁が、貸金業法17条1項所定の事
項中特定し得る事項のみ記載すれば足りると読むこともできるとの通達を出して
いたことは、当裁判所に顕著である。そして、本件ATM17条書面及び本件店頭17条書面には、少なくとも次回の最低返済額とその返済期日は記載されていた上、
平成16年10月から交付された書面から「その時点での全貸付けの残元利金につ
いて、毎月定められた返済期日に最低返済額を返済する場合の返済期間、返済回数
及び各回の返済金額」が記載されていたことは、前記認定事実(第3の2(3))
記載のとおりである。そうすると、「返済間及び返済回数」及び各回の「返済金
額」の記載について、その要件を満たしていた平成16年10月以降はもちろんの
こと、それ以前についても、アイク及び控訴人が、17条書面の要件を満たしてい
るとの認識を有するに至ってもやむを得ないというべきである。」と判示している。

4、弁済を受ける度に18条書面を交付していたこと
(1)被告の領収証兼ご利用明細票のサンプル(乙第5号証の1・2)によれば、当該標準書式が客観的に存在し、かつ、同書式がATM(現金自動預払機)から機械的に交付されていたという一般的な状況を確認することができる。
(2)もっとも、上記書面には、「契約年月日」が記載されていない為、平成18年判決によれば、18条書面として認めることはできない為、「弁済の都度、18条書面を交付したこと」という要件を充足しないかもしれない。
(3)しかしながら、当時施行されていた貸金業規制法施行規則15条2項には、「貸金業者は、法第十八条第一項の規定により交付すべき書面を作成するときは、当該弁
済を受けた債権に係る貸付けの契約番号その他により明示することをもって同項
第一号から第三号並びに前第二号及び第三号に掲げる事項の記載に代えることが
できる。」と規定され、「契約年月目」の記載を省略することが法令によって承認されていた為、全ての貸金業者は契約番号を記載することにより、「契約年月日」の記載に代えていたという一般的な状況に鑑みれば、被告が、当該書面の交付をもって、貸金業法43条1項の適用があるとの認識を有するに至ったとしても、やむを得ないといえる特段の事情を認めることができる。
この点、既に援用した東京高裁判決も、被告の上記見解を支持している。

5、支払いの任意性について
(1)平成21年判決は、「平成18年判決が言い渡されるまでは、貸金業者において,期限の利益喪失特約下の支払であることから直ちに同項の適用が否定されるものではないとの認識を有していたとしてもやむを得ないというべきであり、貸金業者が上記認識を有していたことについては、平成19年判決の判示する特段の事情があると認めるのが相当である。したがって、平成18年判決の言渡し日以前の期限の利益喪失特約下の支払については、これを受領したことのみを理由として当該貸金業者を悪意の受益者であると推定することはできない。」と判示しており、支払いの任意性につき、被告には平成18年判決が言渡される以前は貸金業法43条1項の適用があるとの認識を有するに至った、やむを得ないといえる特段の事情が認められる。
(2)ところで、平成21年判決の反対解釈から、平成18年判決以降については、被告を悪意の受益者と推定することができるとの主張がなされる場合がある。
しかしながら、平成18年判決以前はもとより、同判決以降についても被告には貸金業法43条1項の要件が満たされるとの認識を有しており、かつ、そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ない特段の事情が存在するため、悪意の受益者と推定することはできず、このことは、多数の裁判例においても確認されている。
ア、例えば、既に援用した東京高裁判決も、平成21年判決を引用したうえ、「…他方、平成18年判決により、期限の利益喪失特約中、債務者が約定利息のうち制限超過利息の支払を怠った場合に期限の利益を喪失するという部分が無効であることが明らかになり、この判決を認識した債務者は、返済期日に制限超過利息を含む約定利息を支払わない限り、期限の利益を喪失することになるとの誤解をすることはない。そうすると、平成18年判決が言い渡された後については、債務者が同判決を認識した上で制限超過利息を支払う可能性も生じることになるから、個別の債務者の認識は別として、少なくとも貸金業者としては、債務者が期限の利益特約の存在により事実上強制されて制限超過利息を支払ったものではないと認識したとしても、やむを得ないというべきである。」と判示し、平成18年判決以降でも被告を悪意の受益者と推定することができないことを確認している。
イ、また、神戸地裁社支部平成22年3月2日判決(同庁平成21年(ワ)第144号、乙第6号証)は、「みなし弁済の成否と悪意受益者の判断が別であることは正に被告主張のとおりと思料される。しかるところ、被告のような大手の貸金業者が、自らの利益に直結するみなし弁済の適用を目指し、法律や規則で定められる要件の遵守はもとより、裁判実務の動向等にも細心の注意をして営業を行っていたことは、営利企業である以上むしろ当然であり、経験則にも合致しうることであるから、およそ弁論の全趣旨のみによってもその認定は可能ではないかと思われる。本件では被告から交付書面サンプル(乙第5号証の1,2、第6号証の1,2、乙第7号証の1,2)による立証もなされており、これと弁論の全趣旨を統合すれば、被告がみなし弁済適用の認識でいたことは優に認められるのであって、それゆえ悪意の受益者とはしがたい。…中略…法律がみなし弁済の可能性を容認しているにもかかわらず、司法が極端にその要件を厳格に設定して事実上それを葬り去ってしまうようなことは、よくよく考えれば異常な事態というべきであり、それこそ司法ファッショとも批判されかねなない。したがって、被告は悪意の受益者ではなく、利息支払の義務は負わない。」と判示し、被告を悪意の受益者と推定することができないことを確認している。
(3)なお、平成18年判決以降も被告を悪意の受益者と推定することはできないという解釈が認められないとしても、少なくとも平成18年判決以前の取引に関する限り、被告を悪意の受益者と推定することはできないとの解釈は、多数の裁判例において確認されている。すなわち、岐阜地裁多治見支部平成21年7月30H判決(同庁平成21年(ワ)第51号)、横浜地裁横須賀支部平成21年11月24日判決(同庁平成21年(ワ)第149号)、千葉地裁木更津支部平成22年3月2日判決(同庁平成21年(ワ)第125号)、横浜地裁横須賀支部平成22年3月12日判決(同庁平成21年(ワ)第280号)、東京地裁平成22年9月16日判決(同庁平成22年(ワ)第3956号)、大阪地裁平成22年9月27日判決(同庁平成21年(ワ)第14754号)、東京地裁平成22年10月25日判決(同庁平成22年(ワ)第12526号)などによって確認されている。
また、大阪高裁平成23年2月4日判決(同庁平成22年(ネ)第2482号、第3131号、乙第7号証)は、「…以上の認定に対し、控訴人は、銀行振込みによる返済の場合に被控訴人が控訴人に対し受取証書を交付したとは認められず、また、その受取証書並びに基本契約書及び利用明細書の記載内容は法18条又は17条所定の記載要件をいずれも満たしていないから,被控訴人が法43条1項の適用があるとの認識を有し、かつ、そのような認識を有することに至ったことにっいてやむを得ないといえる特段の事情があったとは認められない旨主張するが、同主張が採用できず、被控訴人が平成17年判決が言い渡される以前は悪意の受益者とは認められないことは、上記説示のとおりである。」と判示し、平成17年判決が言い渡される以前の取引にっいては、被告を悪意の受益者と推定することはできないと判断している。

6.結論
以上により、被告は、貸金業法43条1項の適用があるとの認識を有しており、かつ、そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情が存在する為、「悪意の受益者」に該当すると推定することはできない。

第5.取引の個別性及び一連充当計算の可否
1、原告は、第1取引ないし第2取引を一連充当計算しているが、両取引は単一の基本契約に基づく一連の取引ではないうえ、基本契約を異にする取引間の充当合意は存在しないのが通常であるから、第1取引ないし第2取引を一連充当計算することは出来ない。

2、確かに、最高裁平成15年7月18目†IJ決(民集57携7号895頁、以下、「平成15年7月判決」という)は、「借主は、借入れ総額の減少を望み、複数の権利関係が発生するような事態が生じることは望まないのが通常と考えられる」と判示しているが、平成15年7月判決は、上記判示部分の前に、「同一の貸主と借主との問で基本契約に基づき継続的に貸付けとその返済が繰り返される金銭消費貸借取引においては、…」との文言を冠しているので、文理解釈上、基本契約を異にする取引間の当然充当を否定しているものと解される。
この点、平成15年7月判決の判例解説者である中村最高裁調査官は、「本判決は、「過払金は、…弁済当時存在する他の借入金債務』に充当されると判示する。これは、過払金が発生した時点で借入金債務が存在しない場合には、弁済当時存在しない債務への弁済の指定はあり得ないし、弁済当時存在しない債務への弁済を指定しても無効であることから、弁済当時存在しない他の借入金債務への充当を否定する趣旨であると解される(なお、これは各貸付けが別個であることを前提としているのであり、貸付けの個数が1個であれば、弁済当時存在せず、その後に生じた借入金債務にも充当されることになる。)。このように解することが、過払金は、その充当先がない場合には、不当利得返還請求権となることとも符合する。」(最高裁判所判例解説民事篇、平成15年度(下)7月〜12月分、466頁目〜467頁目、乙第8号証)と解説しているので、平成15年7月判決が基本契約を異にする取引間の当然充当を否定していることは明白である。

3、そして、最高裁平成20年1月18日判決(民集62巻1号28頁、以下、「平成20年1月判決」という)は、上記平成15年7月判決を踏襲し、基本契約を異にする取引間の当然充当を否定している。すなわち、平成20年1月判決は、「同一の貸主と借主の間で継続的に貸付けとその弁済が繰り返されることを予定した基本契約が締結され、この基本契約に基づく取引に係る債務の各弁済金のうち制限超過部分を元本に充当すると過払金が発生するに至ったが、過払金が発生することになった弁済がされた時点においては両者の間に他の債務が存在せず、その後に、両者の間で改めて金銭消費貸借に係る基本契約が締結され、この基本契約に基づく取引に係る債務が発生した場合には、第1の基本契約に基づく取引により発生した過払金を新たな借入金債務に充当する旨の合意が存在するなr'の特段の事情がない限り1第1の基本契約に基づく取引に係る過払金は、第2の基本契約に基づく取引に係る債務には充当されないと解するのが相当である(最高裁平成18年(受)第1187号同19年2N13日第三小法延判決・民集61巻1号182頁、最高裁平成18年(受)第1887号同19年6月7日判決第一小法廷判決・民集61巻4号1537頁参照)。」と判示している。

4,とすると、基本契約を異にする取引間の当然充当を主張する原告は、上記特段の事情(充当の合意)の存在を主張立証せねばならないが、その際に考慮すべき諸般の事情として、平成20年1月判決は、「第1の基本契約に基づく貸付け及び弁済が反復継続して行なわれた期間の長さやこれに基づく最終の弁済から第2の基本契約に基づく最初の貸付けまでの期間、第1の基本契約についての契約書の返還の有無、借入れ等に際し使用されるカードが発行されている場合にはその失効手続きの有無、第1の基本契約に基づく最終の弁済から第2の基本契約が締結されるまでの間における貸主と借主の接触の状況、第2の基本契約が締結されるに至る経緯、第1と第2の各基本契約における利率等の契約条件の異同等の事情を考慮して、第1の基本契約に基づく債務が完済されてもこれが終了せず、第1の基本契約に基づく取引と第2の基本契約に基づく取引とが事実上1個の連続した貸付取引であると評価することができる場合には、上記合意が存在するものと解するのが相当である。」と判示している。

5,ところが、本件では、平成20年1月判決が列挙した諸般の事情について、「第1の基本契約に基づく貸付け及び弁済が反復継続して行なわれた期間の長さやこれに基づく最終の弁済から第2の基本契約に基づく最初の貸付けまでの期間」を除き、現時点では不明であるから、上記特段の事情(充当の合意)の存在を認定することはできない。
この点、本件同様、諸般の事情の大半が不明であった事案において、福岡高裁平成20年6月10日判決(同庁平成19年(ネ)第829号、同庁平成20年(ネ)第251号)は、特段の事情(充当の合意)の存在を否定し、原告の一連充当計算の主張を排斥している。すなわち、上記福岡高裁判決は、「これを本件について検討する。aについては、本件取引1が約6年11か月継続し、その終了の約2年5か月後に本件取引2の基本契約が締結されており、本件取引1が終了した時点においては控訴人と被控訴人との間に他の債務は存在しなかった。また、本件取引1(取引回数87回)のうち貸付がなされたのは平成元年7月28日と平成2年1月16日の2回であり、その余の85回は返済である。bについては、甲1、乙17の5及び弁論の全趣旨によれば、控訴人は、平成8年6月28日、本件取引1の借入金の返済として6万6726円を受領し、控訴人の計算上全額返済されたとして、同取引を終了扱いとし、同年7月1日ころ、同取引の基本契約書を被控訴人の自宅に郵送する方法で返還したことが認められる。cについては、本件取引1に使用されたカードが本件取引1の終了に伴い失効したかどうかは証拠上不明である。dについては、本件取引1の終了から本件取引2の基本契約締結までの控訴人と被控訴人の接触状況は不明である(本件取引1と本件取引2の会員番号が同一であることは、前記のとおり本件取引1が終了した後も控訴人が後の取引の可能性を考えていたことを示すにとどまるから、本件取引1の終了から本件取引2の基本契約締結までに控訴人と被控訴人に接触があったことの根拠とはならない.)。eについては、被控訴人は、本件取引2の申込カード(乙6の1)の『契約種別』欄に『既存』と、『当社を知られた理由』欄に『復活』と各記載されていることを根拠に本件取引2の基本契約が控訴人の勧誘により締結されたと主張するが、前記各記載は被控訴人が本件取引2の申込前に控訴人と取引があったことを示すにとどまるから、前記記載だけでは本件取引2の基本契約が控訴人の勧誘により締結されたと認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。一方、控訴人は、本件取引2の基本契約締結に際して被控訴人の信用調査を実施したと主張し、その根拠として乙18を提出するが、同証拠はマスキング部分が多すぎ、これによっては本件取引2の基本契約締結に際して控訴人が被控訴人の信用調査を実施したと認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。fについては、本件取引1と本件取引2の各基本契約における利率等の契約条件の異同は証拠上不明である。以上を総合すると、本件取引1の債務が完済されてもこれが終了せず、本件取引1と本件取引2とが事実上1個の連続した貸付取引であると評価することができる場合と認めることはできず、他に控訴人と被控訴人との間において本件取引1の過払金を本件取引2の貸付に充当する旨の合意の存在を認めるに足りる証拠はない。」と判示している。

6、以上により、本什では、第1取引と第2取引を事実上1個の連続した貸付取引と評価し得ず、充当の合意という特段の事情は存在しないので、第1取引ないし第2取引を一連充当計算することはできない。
7,なお、被告は、第1取引と第2取引を同一の会員番号で管理していたが、会員番号は顧客を特定する為の整理番号に過ぎないので、両取引を同一の会員番号で管理していたことをもって取引の一連性を肯定することは出来ない。
この点、平成20年1月判決も、会員番号の同一性などを理由として取引の一連性を肯定した原判決を破棄したうえ、取引の一連性を判断する際に考慮すべき事情を多数列挙しておきながら、会員番号の同一性を含めていないので、それが取引の一連性の判断要素たり得ないことを示唆したものと解される。

第6.和解提案
1、はじめに
公知のとおり、多数の消費者金融会社、クレジット・信販会社は、いわゆるグレーゾーン金利を合法と信じていたものが、その利息が不当利得であると言われ今業界全体は壊滅状況に陥っています。この過払金返還に応じられなくなり、多数の貸金業者が廃業・撤退を選択せざるを得ませんでした(金融庁調べ:平成17年3月末時点の登録業者数は18005社、平成22年12月末時点の登録業者数は2677社、5年間で85%以上の登録業者が減少)。
被告においても、平成18年当時は全国に約900店舗余り有人・無人支店を展開しておりましたが、現在では本店(東京都中央区晴海)のほか、大阪難波のサービスセンターを残し全て閉鎖し、約8000名いた従業員は平成22年12月末の時点で692名となり、既に7300名以上の者が職を失っております。また、被告は現在、新規融資どころか既存顧客に対しても新たな貸付を一切行っていない状況にあります。
このような、被告を取り巻く環境からも、被告は事件の早期解決が原告自身の信義にも沿うものと思慮する為、下記内容の和解案を提示致します。原告におかれましては、上記事情も勘案して和解に応じて頂きたいと願います。

2、和解案
被告は、原告との木件争いについて和解による解決を希望する。
(1)被告は、原告に対し、本件解決金として金35万円を、原告指定の銀行口座(ゆうちょ銀行は不可)に振り込む。振込み手数料は被告が負担とする。
(2)原告との和解同意日から70日後を期限として一括支払い。
(3)訴訟費用は、各自負担とする。
(4)原告は、その余の請求を放棄する。
(5)被告と原告との問に、本和解条項に定めるもののほか、何らの債権債務のないことを相互に確認する。

第7.被告の主張・要望
1、被告は、今回答弁書を提出し、擬制陳述する。
2,被告が原告に負う不当利得返還債務は、金36万3106円(別紙計算書1、同2参照)を超えて存在しない。
第1取引別紙計算書116万3721円》第2取引別紙計算書219万9385円


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ワンポイント判例
不当利得として特定物を受け取った者が占有をすでに他に移転した場合は、これを同人が取り戻すことの可能なときに限り、原物返還の義務を負う。(大判昭16・10・25民集20-1313)

   

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